<御教えより>
医学試稿
(1939年文創のまま)
第二篇 病気
病気の真因
病気といふものを一言にしていへば、『生の為の浄化作用なり』である。元来、人間が健康を保持し、生活を営みゐる条件としては、或程度全身が清浄でなければならないのである。何となれば、血液を初め、新陳代謝の完全に行はれるには、汚濁があってはならないからである。であるから、自然は、飽迄(あくまで)その汚濁を排泄せんとして、浄化作用がおこるのである。そうして、浄化作用の表れが発熱となり、痛みとなり、不快となる。嘔吐、下痢、咳嗽、喀痰、鼻汁、出血等、凡て苦痛は伴ふものである。この浄化作用へ対して、今日迄悪い意味に解釈し、是等苦痛作用緩和又は停止せんとして、発達して来たのが医術を初め、各般の療病法である。従而、言を換へていへば、既存療法は“浄化作用の停止”が目的であって、汚濁の排泄をとどめんとするものである。その最も世人の熟知せる事実は“病気を固める”といふ言葉―、それは汚濁の排泄を留め、固結せしめる方法である。再発とは、右の如く一旦固結した汚濁―即ち病毒は、再び浄化作用発現によって、病的症状を呈する―それをいふのである。之に就(つい)ての実際と理論を次に述べる事にする。