教団改革の精神 その1

「世界救世(きゅうせい)教」の内紛、分裂の真相を基に改革を 1

問題の惹起

「世界救世(きゅうせい)教」(=以後は教団)の内紛の予兆は昭和58年暮れにありました。突然「教団体制」の変更と不可思議な人事異動の発表があったのです。実はこれが第一次のクーデターとも言うべき出来事でした。このこと自体は「教団護持委員会」の発足と取り組みにより一旦収束しかけましたが、「6億円疑惑」なるものをデッチ上げて「正常化委員会」という名称で翌59年に本格的な動きを起こしたのです。

この時は「教団護持委員会」対「正常化委員会」という構図で内紛状態となりました。バリケードなどを聖地内に設置するなど醜態を社会の目に晒しました。

その後、「教団護持委員会」の大半の者と「正常化委員会」が裏で手を結び、「新生協議会」なるものを設置し“教主様中心”という美名の下に、事を曖昧な形で納めようとしました。事というのは、総長職に掛けられた「6億円疑惑」です。

「真相」を語る訳ですので、最初に「正常化委員会」(大半が現・いづのめ教団)が何故内紛の元であるクーデターを起こしたかということに着目せねばなりません。それは“昭和47年の教団一元化後に信仰が変質したので改革をする”という表ての理由がまずあります。

次は当時の体制側が握る上納金の運営方法への疑義です。平たく説明しますと、昭和57年の「教祖御生誕百年祭」に花を添えるように建設した「MOA美術館」は、初期計画では完成時に9年のローンを残すことになっていました。ところが、信者さん方の真心(奉祝献金)によって同年完済したばかりか220億円もの余剰金が生まれたのです。

この余剰金の使途を巡る騒動だったのです。

勿論、「正常化委員会」を支持した信者さん方は、表ての理由を真に受け止めたことでしょうし、余剰金の存在や使途問題など知る由もなかったことでしょう。

次に「6億円疑惑」ですが、これは提訴まで発展しましたが不起訴処分で終結しています。6億円は、要職にあった人物への規定以外の退職金を捻出するための事業への出資とされています。規定以外というからには多額のことでしょう。ある事業に出資し、利益を上げた後に回収するというものです。利益をどのように使うかは問わない手法です。

経理上の問題はなく、出資した事業も存在を確認できた訳ですから、不起訴処分は妥当なことでしょう。ただ、道義的な問題は残りますが、「正常化委員会」の当初の主張とは異なります。

それでは、「教団護持委員会」の大半の者と「正常化委員会」が裏で手を結び、「新生協議会」を設立する背景には何があったのでしょうか。

これも、「MOA美術館」建設に絡んでいると言われています。「正常化委員会」は、デッチ上げではなく、“賄賂”性のあることに目を付けたというのです。「MOA美術館」建設業者が役員の邸宅を破格の値段で施工するというものです。たとえば5000万円要するところを1000万円で請け負うといった具合です。

そのことに身に覚えのある者(現・東方之光教団)が「正常化委員会」へ靡(なび)いたとされています。疑惑を掛けられた総長(故・中村力氏)は、身に覚えがないために突っぱねたところ、「教団護持委員会」には兄弟(弟は中村博氏=当時常任理事)を残すのみとなったのです。

このことも、現・東方之光教団の信者さん方は知る由もないことでしょうし、自分達こそ教団を守り、今日まで維持してきたと信じていることでしょう。

しかし、『正直者が馬鹿を見ない世の中をつくる教団』で正直者が馬鹿を見るというのは、大変皮肉なことです。

昭和59年当時の総長、それから現・東方之光教団と現・いづのめ教団、現・主之光教団の信者さん方が馬鹿を見たことになります。本来そんなことがあってはならないのです。

教団改革の精神 その2

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